聴導犬協会でのセミナーの概要は以下のとおりでした。
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動機づけ(motivation)のための作業療法理論
聴導犬・介助犬の普及は欧米に比べて遅れています。日本でも聴導犬・介助犬と共に暮らすことで、生活の質を高められる可能性を持つ方々はたくさんいらっしゃるはずです。生活だけではなく、より充実した仕事やさまざまなレジャーの選択肢を広げ、楽しんでもらえる可能性があります。犬の世話やしつけ、衛生管理などの義務や責任といった心配事を乗り越えて、聴導犬・介助犬を選択するための支援、動機づけについて作業療法理論から考えてみたいと思います。
1. 聴導犬・介助犬と暮らす目的さがし、聴導犬・介助犬クライエントの欲求
―主観的認識、気づきを支援する―
マズロー:欲求の段階
チクセントミハイ:フロー(flow)
2. 聴導犬・介助犬と暮らす意味
―客観的事実の把握を支援する―
フランクル:生きる意味
ギブソン:環境のアフォーダンス
3. 聴導犬・介助犬の機能
―二次的予防とヘルスプロモーション―
作業バランス支援
エンパワメント(empowerment)
作業的公正(occupational justice)
4. 聴導犬・介助犬との生活形態、仕事形態、レジャー形態の発展
空間要素(場所)
時間要素
5. クライエント中心の働きかけ
―アイデンティティと役割の再構築―
作業遂行モデル
人間作業モデル
6. 課題
東洋の文化的社会的背景
原 和子