(株)エルゴは、名古屋市工業技術振興協会の支援で名古屋ビジネスインキュベーター施設、nabi 金山に入居しています。この協会では定期刊行物として「技術のひろば」という冊子を年4回発行しているとのことで、エルゴにも執筆依頼がきました。4月1日発行予定の第63号ですので、一足先にブログに載せるのは申し訳ないのですが、恐らくブログを読む方は極限られた方ですので、窓口になっている武藤さんには免じてもらいましょうか。
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どこでもリハビリテーションにむけて
(株)エルゴ 原 和子
21世紀を迎えたころ、医療界では「少子高齢化、環境、リハビリテーション」がキーワードとなっていました。それらは今、さらに具体的なテーマになりつつあります。あえてあげるとすれば「認知症、エコ、地域あるいは在宅リハ」といったところでしょうか。(株)エルゴは、これらを統合したサービスの提供を目標としました。
まず、地域で障害者とその周辺に焦点をあて「エルゴ」という冊子を2009年に発刊しました。内容は、英国の知的障害者が主体的に運営する「ピープル・ファースト」、スペインの視覚障害者のために、雇用の機会を提供しているONCE (Organizacion Nocional de ciegos de Espana: オンセ:スペイン盲人協会)の取材と紹介。ちなみに「ピープル・ファースト」は親元を離れてケア付き住宅に暮らす知的障害者の支援や、コミュニケーションを支援するシンボルや絵図の販売などをしています。また、ONCEの主な事業収入は「宝くじ」の販売です。「宝くじ」の収益金は、盲人協会の運営、活動資金、社会サービス、教育、職業訓練、リハビリテーション等に使われるという分かり易さ、健全性により広く大衆に定着しています。他に、三笠宮寛仁親王殿下が支援するチャリティー音楽会での障害者のよそゆきファッション、知的障害者などによる「ワイン」作りと販売、義手で奏でるバイオリン合奏、片まひとなった音楽家の指揮者としての復帰、聴導犬、介助犬普及に協力するテレビでも有名なシェフ達のボランティア活動、北京パラリンピックでのボート競技、パラリンピックを裏から支える義肢装具士の活動を取材し、掲載しました。
この「エルゴ」創刊号は販売に関する事業戦略を持っていなかったために、収益をあげることができませんでした。これらの反省に基づいて、もうすこし一般的な対象者向けに出版活動を継続することとしました。現在、準備中なのは「リハビリテーションとセラピーのための園芸療法」、「(同じく)陶芸」、「(同じく)ダンス」です。さらに専門性の高いものとして「ハンドセラピー」があります。
当初より考えていた、ウエブを利用した「家庭でできるリハビリテーション」の提供は、これからの課題としています。固有性の強い個人の「リハビリテーションプログラム」の選択と提供、特にそれらに使用するワークブックや訓練道具の販売が計画内容ですが、これらも営業としてどのように成り立つのか、まだ模索している段階です。
「どこでも、だれでもリハビリテーション」の啓蒙と普及をめざして、すこしずつ前進していこうと思います。どうぞよろしくお願いいたします。