取材の帰りに、東京で昔住んでいた街に
寄ってみた。数年ぶりに訪れたら、すっかり
風景が変わっていて驚いた。
なぜか、ここはずっと変わらないような気が
していた。前に買い物をしたことのある
雑貨屋さんで話を聞いたら、こんなに
街が変化したのはここ2,3年のこと
なのだという。
毎日通っていたカフェが二軒ともなくなり、他のお店になっていた。
近所の図書館は移転して、工事中だった。
地元の商店街にいる人の歩みが速くなった気がする。
駅前のドトールとミスドがなくなって、真新しいサンマルクカフェになっていた。
古びたゲームセンターも取り壊されていた。
でも、ここに住んでいたころ、一日一冊本を買っていた書店も、
一ヶ月分の読み終えた本を定期的に売りに行ってた古本屋も、
まだあった。ブックオフができたと風の噂に聞いたけれど、
大丈夫だったようで一安心。
猫の多い街だった。
お寺や路地、駐車場などに、いつもたくさんの猫がたむろして
街の人たちが餌をやるのもよく見かける光景だった。
前より猫が少なくなった気がするのは、暑いせいなのか、そういう時間帯なのか?
ここに寄ったら行きたかったとんかつ屋と蕎麦屋をはしごする。
食べ物の味やメニューは変わっていない。懐かしいそのままの味。
隣のテーブルのおじさんたちが、ぐでんぐでんに酔っ払って
話がにっちもさっちもいかなくなってる。うちのかみさんの話から
生きることの大切さについてまで。
たしかに、ここはお酒も食べ物もおいしいからね。
前にもこんなことがあったような既視感を覚えつつ、懐かしい場所を後にした。